新宝蔵

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唐招提寺には1970年に鉄筋コンクリートで完成した新宝蔵と呼ばれる建物があり、そこには旧講堂に安置されていた素晴らしい奈良時代の木彫群像があります。

特に以下の国宝、三像はすべて榧(かや)で作られた一木造で、これより後の日本の仏像彫刻の主流となる作り方です。

                             伝衆宝王菩薩立像 173.2cm     伝薬師如来立像  165cm  伝獅子吼菩薩立像 171.8cm      

                                                                                (伝とあるのは、これらの像が伝承では何であるかを示しています)

「仏像」山と渓谷社より
「仏像」山と渓谷社より

伝獅子吼菩薩と伝衆宝王菩薩は左肩から右の腰にかけて途中に結び目の入った鹿(ろく)布(ひ)を着け、三番目の眼が額に縦についていますが、この二つの仏像が不空羂索観音像であることを示しています。これらの像は羂索堂(けんざくどう)という建物が寄進されたときに同時に寄進されたとのことです。腕が消失していますが、伝獅子吼菩薩は四臂(四本腕)で伝衆宝王菩薩は六臂です。羂索堂に安置されていたので、どちらが本尊かという議論がありますが、私はこの二つの像は脇侍として安置されていたのではないかと想像します。そして伝薬師如来立像が本尊ではないだろうかと。

如来が本尊で菩薩が脇侍として並ぶ三尊像はよくある形です。しかし、薬師如来なら月光・日光菩薩というように別の菩薩が立ちます。別の菩薩ですが、よく似ていて腕の位置などが少し変化します。この二つの不空羂索観音菩薩も腕の数が異なるなど、大変似ていますが、色々異なる点が見えます。もし想像が正しいなら、この如来は薬師如来ではありません。脇侍が月光・日光菩薩でないからです。ただ如来であることは間違いありません。仏でない菩薩は飾りをつけたり髻(もとどり)を結っていますが、この像には飾りはなく、仏の相である螺(ら)髪(ほつ)だからです。いずれにしても大変、魅力的な三像だと思います。

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